今年の記憶を刻むシーズン最後の集い「終り火2016」in北海道美深
2017.02.01 長野修平

今年の記憶を刻むシーズン最後の集い「終り火2016」in北海道美深

今年の記憶を刻むシーズン最後の集い「終り火2016」

日本のFINAL FRONTIERともされる道北。その中心を流れる天塩川からさらに山奥へ入った原野が会場である。
村上春樹の「羊をめぐる冒険」の舞台としても知られる、北海道美深町にある宿「ファームイントント」とその目前へ地平線と共に広がる広大な羊牧場が、2015年からスタートしたアウトドアシーズン最後の日として集まるイベント「終り火」のフィールドで、昨年に続く2回目の開催だ。

Photography by Seiji Kazui

2016.11.5~6の1泊2日で行われた「終り火2016」。今回は50年ぶりと地元の人が言う晩秋の大雪が降り続けてホワイトアウト寸前という、道北好きにはスペシャルな条件の中でスタートした。スタートといっても、開始時間が決まっている訳でなく、参加者がそれぞれの都合にあわせ昼前後に集まり、自然なペースで始まっていくという流れだ。それは都市部のイベントにはない道北の厳しい地ならではの自然な空気感で、中には前日の準備時間から来ている参加者も。

Photography by Seiji Kazui

数日前から雪踏みして固められたフィールドには大きく掘り込まれた特大焚火ピットを中心に幾張りものテントが雪に埋まりつつ立つ。
大きなティピ型は参加者メイン宿泊用、散りばめられた2人用のテントはスタッフやソロ泊希望者用、それ以外に調理場兼食事棟、食材棟、クラフトワークショップ棟、クラフト資材棟などあり、その背後には避難小屋としての宿「ファームイントント」が薪ストーブの火を焚いて静かに佇む。

Photography by Seiji Kazui

クラフトの指南役として、まずは集まった順に道産木材のクラフト作りをサポートする。素材は北海道産の天然木(タモ・ハン・シラカバ・キハダ・ナラなど)を樹皮ごと厚板にし、しっかり乾燥させた木材。作るものはカッティングボード・掘り込みの器・スプーンなどの提案アイテムから自由に。手挽きノコギリで好みの材を切り出し、ジグソーでカーブを刻み、大きい彫りはノミをあてる。

Photography by Seiji Kazui

Photography by Seiji Kazui

フィニッシュは焚火の脇を陣取り、エゾ松のククサ風CUPでブランデーコーヒーを飲みながら、HIROウッドカービングナイフやVICTORINOXラックサックなどで手仕事仕上げしてゆく。

Photography by Seiji Kazui

アックスでブッシュクラフトに挑む者、置き火を載せて板を掘り込む先住民族の工法に趣を求める者などなど、1泊2日の間ひたすらに仕上げていく。

Photography by Seiji Kazui

Photography by Seiji Kazui

Photography by Seiji Kazui

夜は道北名寄市の東洋肉店の代表である東澤壮晃氏による羊を中心とした料理が、トドマツの葉を敷き詰めたテントで次々と供されていく。羊肉や豪州ワインを筆頭に様々な食材に精通し、尚且つその調理法は海外で取得済みだ。ラムのスネ肉解体に始まり、羊の内臓の燻製や生ハム、美深産カボチャのフムスやラムの火鍋&しゃぶしゃぶなどの多国籍料理に厳選チーズや干し柿、ブドウやオリーブを合わせ、もはや料理人というより食のアスリート。

Photography by Seiji Kazui

外では氷点下BARに美深町観光課の小栗氏がこだわりのスコッチやバーボンを雪降りしきる中で注いでいる。

Photography by Seiji Kazui

Photography by Seiji Kazui

Photography by Seiji Kazui

時折見える星を愛でる者、微かなランタン灯りで自作の雪板に興じる者、ひたすら木を削り続ける者。そして日付が変わるころ、1人また1人とストーブで温められたテントに入りシェラフへ潜っていった。

Photography by Seiji Kazui

一瞬の朝日が差し込んでくれた朝は、道北天塩川や朱鞠内湖でカヌーをするリバートリップキャメルの代表、辻亮多氏が埋もれたテントを雪から掘り出ながら朝食を作っていた。

Photography by Seiji Kazui

自ら釣ってきた鮭を焚火で焼き、煎り玄米で粥を焚く。焚火パーコレーターの熱いコーヒーと共に、すべてが凍りつく氷点下の中のシェラフから出てきた身には、まさには命の味だ。

Photography by Seiji Kazui

2日目は朝食を取りつつ、クラフトの最終仕上げをし、皆で車を雪から掻き出してスタックした車を押出して三々五々に帰路へとついていく。街中はまだ暖かく身体が冬慣れしていないこの時期、氷点下の中で過ごした2日間は誰にとっても特別な時間であったようで、皆充実した笑顔であった。「また来年ここで会おう」が合言葉になる。私にとってはこの1年を振り返ることができる「終り火」であるとともに、冬のフィールドと来年に向けた「始まり火」のような存在のキャンプだ。来年会うそれまでは皆、自然を道北を愛する冒険者として、ここでまた語ることができる自慢話の種を少しでも多く、少なくても特別な種を是非作ってきてほしい。

Photography by Seiji Kazui

【今回の装備品】
HIROウッドカービングナイフ
Barbourビューフォートジャケット
Barbourパイルライニング
DARN TOUGH ブーツソック・フルクッション

レポーター紹介
長野修平
長野修平

北海道苫小牧の山菜料理店に生まれ、幼いころから北の原野で山菜取りを手伝い、調理場では刃物を握って遊んでいた。
そんな記憶を辿るように、自然と刃物と共にあるアウトドアと暮らしを実践。
自然の素材やリユース材でアウトドアツールから暮らしの道具までも作り、
その醍醐味と奥底にあるメッセージをイベントやワークショップ、SNSや地上メディアで伝える。

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