2005.09.23

マドレーヌ島 シーカヤックトリップ

赤津 大介

カナダ辺境の島へ

A&Fが取り扱うカナダのアウトドアウェアブランド「Chlorophyll(クロロフィル)」。ここの社長 Gilles(ジル)氏(アラスカからアメリカ大陸最南端フェゴ島まで3年間かけて旅した冒険野郎!)からの招待でカナダ Isle de la Madeleine(マドレーヌ島)で行なわれた「Le Tour Bleu(青い旅)」(クロロフィル社協賛)というツアーに参加してきました。日程は9月10日より18日までの9日間で、島周辺をシーカヤックで巡りながら、同社試作品のフィールドテストを行なうというものである。この島は、カナダはケベック北東に位置するPEI(赤毛のアンの舞台で有名なプリンスエドワード島)より西へ100キロメートルほどいった辺境の地にある。日本では冬にアザラシを見に行くツアーの拠点となり有名なこの島の夏は、シーカヤック、ウインドサーフィン、冬は海が全面凍結するためウインドスキー(手にはカイト、足にはスキーでなんと凍結した海の上を滑る!)が盛んな、風の強い北の島。成田を出発、バンクーバーを経由してモントリオールで1泊し、1日1便しかでていない飛行機でマドレーヌ島へ。飛行時間5時間弱、夜の10時に到着し、外に出ると寒い! 話は聞いていたもののここまで寒いとは。おそらく10度前後だろう、東京を出るときはまだ30度もあったのに……。

高波に3回「沈」

このツアーは、スタッフ5名、ガイド4名、参加者は総勢で30名ほど。その全員がフランス系カナディアン! 会話はすべてフランス語! 当たり前だが日本人は私1人。まったく理解できないので1人、ビールを飲みまくりへらへらしていたら、みんなちゃんと唯一の東洋人にコミュニケーションをとりにきてくれる。物珍しさもあるかもしれないが、楽しかったし、なにより嬉しかった。和やかムードで迎えた翌日、トリップ初日、海をチェックしてみると強風&高波、それもそのはず、前日までなんと! ウィンドサーフィンの世界大会が開催されていたということ。行くのか? これで? それでも皆さんはせっせと荷造りをスタート。嫌な予感がよぎるが、行かないわけにもいかない。日本男児として!私の気持ちを表すかのごとく、雲は低く、黒く、どんよりと空に浮かんでいる。恐る恐る砂浜から、高い波の立つ海へと漕ぎ出す。最初の波をかいくぐりながら越えると私の体は大海原の上でしっかりと浮かんでいる。そう、カヤックの最高の醍醐味はこの浮遊感である。数十センチでも、何千メートルもの水深の上であろうが川、湖、海といったあらゆる水の上に座り、自分の力で行きたいところへ進んでいくことができる。日本から遠く離れた、カナダ東海岸の北の海の上でゆらゆら揺られながら、そんな物思いにふけったのはつかの間。砂浜から見ても高かった波は水面から数十センチの高さで、上半身しか出ない格好で海上に浮かぶと、さらに高く見える。前に浮かんでいるはずの人が波で見えないし、おまけに強風で煽られ、周りの景色を見る余裕もなく必死に、ただひたすら漕ぎつづけるしなかった。私のカヤックはシングル(1人用)だったのだが、他の人たちは2人乗りの長く大きなヤツに乗っている。一杯一杯の状況の中、楽しそうに会話をし、波が押し寄せてくる状況に歓声をあげながらも安定して漕いでいる2人乗りをちらちら見ながら、とてつもなくうらやましく思った。  肌寒く感じた気温が、(必死に!)動くことによってちょうど心地良くなってくると面白いもので緊張感がうすれ、かわりに余裕がでてくる。いや、そのときは余裕と思っていただけなのだが、おそらく数十分は漕いでいただろう。「なんだ俺いけるじゃん、こんな高い波の日はカヤックで海に出たことはなかったけれど、一応それなりの経験はあるし、ひっくり返らずに安定してるし」などという余計なことを思うと、体も相応に動いてしまう。しかし、それはあっという間であった。バランスを崩し、強い風と波がそれをしっかり後押ししてくれた。その瞬間、何がなんだかわからなくなり、我にかえると海の中にいた。俗にいう「沈」だ。以外にも水温は低くはなかったが「沈」したことに思い切り落ち込む。ほどなくしてガイドが助けに来てくれ、ことなきを得たが、今度は完全にびびってしまい体がうまく動かない。少し漕ぎ、他の人たちがいるところまで戻ろうとするのだが、また水中へ……。この日結局、私は計3回も「沈」した。

陽気なシンギング・カヤック

トリップ2日目、非常に穏やかな日となり快適にカヤックトリップを行うことができた。やっとのんびりと穏やかなカナダの海を満喫していると海面からアザラシが! 危うくパドルで頭を叩いてしまうほど近くに出没、私も驚いたがアザラシも驚いていた。この島は赤色の砂岩で海岸線で形成され、強い風、波に削られるのをただひたすら耐えているといった印象をもった。トリップ3日目、少々風は強いが、1日目に比べたら大したことはない。この日は島の最も北部周辺を重点的に回る。鋭い崖(50メートルほど)の真下を海岸線に沿ってみんなで進む。この日も気持ちよく楽しく、途中で歌を歌いながらカヤッキング。それにしてもこの人たちは本当によく歌を歌うカラオケーカラオケーといいながら歌い出すので面白くてしょうがない。

意外な受賞

ツアー最終日、2日目に行く予定であった大絶壁の島沿岸をカヤッキング。うねりはほとんどない状態だったのだが、風が強く非常に四苦八苦する。この日は海岸線が砂浜になっている部分が多く、風が強く吹き抜けるため、安全性を重視し、カヤックトリップはここで終了。早めに上がるということはその分飲めるだろ、と言っていた意味がわかったのは、その夜の大パーティー。連日連夜パーティーはしていたが、この日はとくに盛り上がった。 翌日早朝5時にホテルを出なくてはならない私も朝3時まで盛り上がる。また、このパーティーで「under water prize」という、うれしいのかうれしくないのかよくわからない賞を受賞、つまり私が一番ひっくり返っていたということ。最後にツアーのロゴを模ったとても素敵なトロフィーをもらい、今回の私の旅は終わった。今回はカヤックという道具を通して通常では見ることのできない場所に皆の力を合わせて行き、感動を共有し、友人をつくることができた。カヤックのみならず、サーフィン、スキー、スノーボード、マウンテンバイク、トレッキングといったものを生活の一部として取り込み旅と人生のスパイスとして上手に料理しているカナダ人には、余計なストレスや、環境破壊なんかもなくなっていくのだろうと感じた。最後に私がこの旅で持っていって便利だったものをあげておこう。

  • 日焼け止め
    1日中外にいると日差しがなくても日に焼ける。リップの日焼け止めもあると重宝。
  • 咽スプレー
    海外は乾燥しているので風邪の予防に。
  • ハイドロシステム
    トレッキング、カヤッキングには重宝。いちいちボトルをあけるために動きが止まることを考えると、チューブを引き寄せて水分を簡単にとることのできるこのシステムは重要かつ便利。
  • レザーマンマルチツール
    はさみ、ナイフのついたものがベスト。最近はナイフブレードを簡単に開けられるものもあるのでレスキューの際にも必要。
  • 防風機能付きフリースおよび撥水性のあるジャケット、パンツ
    濡れて寒いといかに人間の動きが遅くなるかは今回の旅で痛いほど実感した。着替えも忘れずに! またこれらはカヤックの場合は絶対に防水バッグに入れておかないとまったく意味がない。
レポーター紹介
赤津 大介
赤津 大介

1978年東京生まれ。幼少時より現在まで釣り、トレッキング、マウンテンバイク、スノーボード、テレマークスキー、カヤックと貪欲になんでも挑戦。カナダにて1年間留学と称して本場にてアウトドアスポーツを堪能する。カナダ、バンクーバーアイランド、ベラベラでのカヤックトリップをはじめフィールドだけは世界各地。今後はアメリカ、カナダ、ニュージーランドをはじめ南米周辺のトレッキングルートを挑戦予定。