山で感じる四季(春)
2018.06.11 上野朋子

山で感じる四季(春)

山で感じる四季(春)

トレイルランナー 上野朋子

GW明けとなったこの日、仲間と選んだのは、北信濃エリアの斑尾高原だった。
例年、この時期はまだトレイル上には雪が残っていることが多いが、今年は雪解けも早く、新緑がところどころ始まっている、とのことだった。

私自身はスキーヤーでもあるので、この冬も何度かこのフィールドを訪れている。豪雪地帯であるこのエリアは、冬場は3mを超える雪に覆われている。スキー場のみならず、ゲレンデを離れても、スノーシューが楽しめるコースもあり、冬場はもちろん、そしてこれからの春から秋にかけても年間通して遊べるフィールドとして好きなエリアの1つだ。

この日のスタートは沼ノ原湿原。
5月といっても、雨上がりで曇の多い空模様ということもあり、気温は6度。意外と肌寒かった。
湿原では、ミズバショウとリュウキンカがちょうど見頃を迎えていた。普段走っていると、つい通り過ぎてしまうようなこんな素敵な風景も、たまにはのんびり散策してみるのも、また新鮮で楽しい。同じ湿原の中でも、雪解けのタイミングにより、咲き始める花のタイミングも変わってくるそうだ。

冬や秋に来る機会が多いので、実はこの5月中旬という時期に、このフィールドに来るのは、初めてのこと。
春には、こんな花が咲いているのだな…、雪解けの後はこんなに倒木が多くなってしまうのか…と時期が変わると、新しい発見も多い。

湿原から出ると、袴岳を目指した。
袴岳の山頂までは、細かなアップダウンを繰り返していく。そのほとんどが、シングルトラックの続く気持ち良いコース。標高が上がるにつれ、ガスが出てきた。音のない静かなトレイル、足元はしっとりとしたトレイルもまた、幻想的な雰囲気があった。ごくごく一部の日陰になったエリアでは残雪も見られた。

コース終盤に訪れたのは、「生命の森」と名付けられた一角。毎年10月に開催されている、「Madarao Forest Trails」の大会前日に、トレイルランナーにより植樹が行われているエリアだ。トレイルランナーが自分たちの手によって、走るフィールドの森を整備し、作り上げていこうというもの。
私もここ数年は毎年参加しているが、トレイルランナーたちと植樹をしたブナやオオヤマサクラの木が大きくなっていくのを見ることができるのは、なんだかとてもうれしい気持ちになる。

周りは新緑が始まっているが、ぎりぎりのタイミングで、サクラの花を見ることができた。トレイルの脇には、ネマガリダケやコゴミといった、春の植物たちも顔を出していた。

山に上がっていくにつれて、ガスがかかり、幻想的な雰囲気を感じたり、下山すると青空がのぞいたりとコロコロと変わる天気の1日だった。
スタート時のひんやりした空気も、お昼には温かさを感じるほどにまで気温も上がってきた。
やっぱりもう春なんだな…!と気付くと、気持ち良く走り出していた。

さぁ、トレイルランニングシーズンのスタートです。

レポーター紹介
上野朋子
上野朋子

トレイルランナー
幼い頃から、家族の影響で登山・スキーなどのアウトドアに親しむ。中学・高校・大学はテニスに打ち込む日々。トレイルランニングには2009年頃に出会い、以降、レースにも参戦。同じころ、学生時代には一度離れたスキーを再開したこととも重なり、四季を通してその時々に合わせたフィールドで遊ぶ楽しみに惹かれる。現在も、冬場はスキーが中心。海外のレースへも挑戦し、初めて出会うトレイルを走る魅力、新しい土地での旅をしながら山を楽しむスタイルを追求している。
FACEBOOK